銅管のリサイクル性
リサイクルの必要性
●資源の枯渇
地球上の資源には限りがあります。今までと同様に消費し続けると、あと数十年から数百年で資源が枯渇してしまいます。私たちは、これからの世代の人類の生存に赤信号が灯っていることを認識しなければなりません。
●廃棄物の増加
わが国で年間に排出される廃棄物量は約8億トンもあります。そのうち半分が産業廃棄物で、さらにその約2割が建設副産物です。最終処分場は不足しており、10年後には処分場が無くなると言われています。
●地球温暖化
リサイクルは地球温暖化の防止に役立ちます。製造時に排出されるCO2の量 を比較すると、下の表のように、再生材は新資源から製造される製品の1/2〜1/6しか排出しません。

■金属製品のCO2排出量(製造時)

金属製品 CO2排出量
(kg-C/kg)
新材 0.160
再生材 0.027
転炉鋼 0.522
電炉鋼 0.139
SUS304 新材 0.31
再生材 0.14


リサイクルの現状
建築設備工事から排出される廃棄物のリサイクルはまだ始まったばかりです。リサイクル技術の開発が急務であることは間違いありません。
材料の面での問題の1つは、プラスチック類です。これらは種類が多く分別が困難であるとともに、再生プラスチックの質がもとの材料に比べて著しく劣ります。
そしてもう1つの問題は、ライニング鋼管等の複合材料です。材料を分離することが困難なため、リサイクルすることができません。


■建築設備工事廃棄物のリサイクルの現況(管種のみ抜粋)

廃棄物 リサイクルの現状
廃プラスチック 樹脂管 塩ビ管はリサイクルが
始まったばかり
金属くず 銅管 銅としてリサイクル
パイプ・ダクト残材・
支持金具類くず 
切断・圧縮・溶断により
スクラップ化


リサイクルのための行動
まずは、リサイクル以前に、排出される廃棄物の量そのものを減らす努力が重要です。また材料選択の段階から、リサイクルに適した素材を選ぶことも必要です。

■資源消費・廃棄物の削減方法

1.無駄をなくす
1)必要な機能・性能を的確に把握する。
2)最少の資源・資材で機能・性能を満足させる。
3)改修・更新時に建築内装材を解体しない設計・施工。
2.ロングライフ化
1)機材の耐用年数を長くする。
ただし、運用時にエネルギーを多量に消費する機器については、新鋭機器へ の更新によるエネルギー消費の削減量 と資源投入量、廃棄物量とを比較して使用期間を判断する。
2)劣化した部品等の交換を容易にする。
3)良質なメンテナンスを行う。
3.リサイクル
4.破砕等による廃棄物の減容化


■建築設備工事廃棄物リサイクルのための材料の選定

(1) リサイクル可能な材料を使用する。
現状では樹脂管よりも金属管がよい。
(2) 回収時のスクラップ価格が高い材料を使用する。
銅は現在でも回収率が高い。
(3) 複合材料の使用を避ける。
ライニング鋼管やFRPはリサイクルが困難である。
(4) 再生資材の利用に努める。


出典
「空衛」1998年11月号
建設現場におけるリサイクル問題


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